この作品を描いているとき、気づけば一匹の亀が、大きなハートを抱えていました。
その亀は、どこかへ急ぐわけでもなく、誰かと競争するわけでもなく、自分の大切なものをしっかりと抱えながら、ゆっくりと前へ進んでいました。
その姿を見ていると、私たちの人生も、少し似ているような気がしました。
誰かにとっては小さなものでも、自分にとっては何よりも大切なものがある。
夢かもしれない。思い出かもしれない。大切な人への想いかもしれない。
それぞれが自分だけの「ハート」を抱えながら、それぞれの道を歩いている。
描き進めるうちに、その亀のまわりには、帽子をかぶった魚や白い鳥、海の生き物たち、キノコや植物たちが次々と現れました。
そして、画面のあちこちに小さなハートが散りばめられていきました。
まるでこの世界には、最初からたくさんの愛が存在していて、それを見つけるたびに、新しい色や仲間が増えていくようでした。
違う姿をした生き物たちが、同じ世界の中で、それぞれ自由に生きている。
誰かと同じでなくてもいい。自分の速度で進んでもいい。
そんなメッセージが、この作品を描いている間、静かに私の中へ届いてきました。
この作品が、見る人にとって、自分が大切に抱えている「ハート」を思い出すきっかけになれば嬉しく思います。
そして、そのハートを手放さずに、自分だけの旅を続けていけますように──そんな願いを込めました。
本作の中心に描かれているのは、大きなハートを抱えながら旅をする一匹の亀です。
色とりどりの模様で彩られた甲羅は、まるでこれまでに出会った人や場所、経験や思い出が積み重なり、そのまま形になったかのようです。
亀が抱えている大きなハートは、自分にとって本当に大切なものの象徴。
それを守るように抱えながら、亀は自分だけの速度で前へ進んでいきます。
そのそばには、帽子をかぶった愛らしい魚が寄り添い、空には白い鳥が舞い、海や大地にはさまざまな生き物や植物たちが存在しています。
それぞれ姿も生き方も異なりながら、誰もが同じ世界の中で、それぞれの場所を持っています。
画面全体に散りばめられた無数のハートは、特別な誰かだけが持つものではなく、世界のあらゆる場所に存在する愛を表しています。
小さな出会い。何気ない優しさ。誰かを思う気持ち。
そんな一つひとつが、小さなハートとなり、世界の中に静かに広がっていく。
背景を包み込む虹色の流れは、海と空、現実と空想の境界を越え、すべての生命がつながっているような大きな世界をつくり出しています。
この作品は、「どこへ向かうのか」よりも、「何を大切に抱えて進んでいくのか」を問いかける一枚です。
急がなくてもいい。遠回りをしてもいい。
自分にとって大切なハートを抱きながら、一歩ずつ進んでいく。
そんな小さな旅の中にこそ、その人だけの美しい物語が生まれていくのかもしれません。
